皮膚科学

◇表皮◇

投稿日:2017年4月26日 更新日:

The epidermis
ターンオーバーとは表皮だけの話ですが、その表皮の厚さはどのくらいでしょう?
A.0.1mm B.0.5mm C.1.0mm

こんにちは。
手荒れすると、表皮が無くなってしまうリズミカルな美容師よごです。
タイトルの◇は、ケミカルを示します。
今日は

表皮

について。

 
表皮は皮膚の一番外側にあり、3つの異なった系列の細胞に分けられます。
ケラチンを作る細胞系列の角化細胞、皮膚色素のメラニンを作る色素細胞、それに免疫をつかさどるランゲルハンス細胞です。
そして、表皮の厚さはたった0.1~0.2mm!

 

 
表皮

角化細胞(ケラチノサイトkeratinocyte)

角化細胞(ケラチノサイト)は表皮細胞の95%を占め、表面より角質層、淡明層、顆粒層、有棘層、基底層の5つの細胞層からなっています。基底層は表皮の一番下層にあって、1列に並んだ基底細胞からなり、この細胞が分裂して順次上方に移動し、有棘細胞、顆粒細胞、淡明細胞となり、最後に角質細胞となります。この時点までで2週間かかります。
基底細胞から顆粒細胞までは、お互いの細胞を結びつける構造(デスモソームという接着構造)が形成されていて、(顕微鏡で見るとお互い手を出し合って橋がかかっているように見えるので、細胞間橋という)、しっかり結びつき、外力が加わってもばらばらになりません。
角質細胞の最上部は順次、いわゆるあかやフケとなり、はがれ落ちていきます。このように、基底細胞から角質細胞に変化していく現象を角化とよび、角化細胞のもっとも重要な作用になります。また以上の5つの層のなかで、淡明層は角質層の厚い手掌、足底のみに見られ、ほかの部位には存在しません。

 
角質層は、核が消失した角質細胞が重なり合ってできています。この層は、からだの部位によって、その厚さが異なっています。手掌や足底では厚く、顔面や手、足の屈側部では薄くなっています。角質層を形成する細胞の成分はケラチンというタンパク質で、20~30%の水分を含み、酸やアルカリなどの化学薬品や熱、寒冷に抵抗力が強いので、外界の影響からからだを守るのに大きな役割を果たしています。
角質層の細胞間には、角化の過程で角化細胞によって作られたセメント物質がつまってくっつき合っていますが、脂質成分が多く含まれていて水分の通過を防いでいます。ケラチン自身は水を吸着する性質が強いので、長く入浴したり、海水浴をすると、角質層の厚い手足では皮膚が白くなり、ふやけてしわができます。これは角質層のケラチンが多量の水を吸着したためです。
角質層の水分が10%以下になるといわゆる荒れ性といわれるかさかさの皮膚になってしまいます。クリームや化粧水は角質層の水分の蒸発を防ぎ、また、角質層に適度の水分を与える作用があるので、荒れ性を防ぐことになります。

皮膚の洗浄をおこたると、皮膚の表面にはいわゆるあかがたまってきます。あかは、脱落した角質細胞と皮膚表面に分泌された皮脂、汗などが、ごみやほこりと一緒になったものです。頭部ではこれがフケとなって現れます。機械的外力が同じ場所に繰り返し作用すると、その部分の角質層が肥厚することがありますね。その肥厚する状態によって、タコやウオノメとよばれたりします。

 

色素細胞(メラノサイトmeranocyte)

皮膚の色素であるメラニンを作る細胞で、基底細胞の間に点々と存在し、長い細胞突起を持っています。メラニンはこの色素細胞でつくられ、細胞突起を経て基底細胞に与えられますが、特に核の上に分布し(核帽形成という)、角化細胞の母細胞である基底細胞の核DNAが日光の紫外線によって障害されないように、守っています。
皮膚の色の白い黒いは、おもに色素細胞の中でつくられるメラニンの量の多少と配列によるもので、色素細胞の数の多少によるものではありません。色素細胞の数は、人種(白色人種、黄色人種、黒色人種など)、あるいは同一人物でも個人による色の白い黒いに関係なく、同じ部位で比較するとほぼ同一です。しかし、からだの部位によってメラニンの量に差があり、外陰部、乳輪、ついで腋窩、顔、頸部などに多く、四肢では伸側が屈側より多く、色が黒いのです。

 

ランゲルハンス細胞

角化細胞の間、おおむね基底層より上位に点々と存在し、突起をもち、遊走する性質を備えたマクロファージ(macrophage:血液中の単球が組織に滲出した巨大な食細胞)系の細胞で、表皮のほかにも、毛包、粘膜上皮、さらに真皮やリンパ節などにもみいだされます。
ランゲルハンス細胞は免疫に関与する細胞で、外界から表皮のなかに侵入してきた抗原物質(アレルゲン)をとりこんで処理し、リンパ球に抗原情報を提示するはたらきをもっています。抗原をとりこんだランゲルハンス細胞は表皮へ遊走してリンパ管に入り、リンパ管内を移動していって、リンパ球の集合場所であるリンパ節に達し、リンパ球に抗原情報を与えて刺激し、その抗原に反応するリンパ球(Tリンパ球)を増殖させ、あるいはBリンパ球に抗体をつくらせます。その増殖したリンパ球あるいは抗体が血管を通って皮膚の達し、そこの皮膚に該当する抗原が存在すると、それと反応してサイトカインを分泌し、様々な細胞を巻きこんで炎症を引き起こし、アレルギー性のカブレ(接触皮膚炎)を起こしたり、肥満細胞や好酸球が関与してアトピー性皮膚炎を誘発し、あるいは悪くしたりします。
ランゲルハンス細胞はまた、抗原物質以外の異物をとりこみ処理する作用(貪食作用、食機能ともいう)も少しありますが、真皮に存在する組織球やマクロファージのように、細菌などの大きな異物を貪食するほどの強い食機能はありません。また、抗原物質をとりこみ処理する以外に、抗体などを細胞表面に受け止める働き(受容体)があります。そのため、ランゲルハンス細胞表面の受容体に付着した抗体にさらに抗原が結合し、そしてまたさまざまな活性物質や細胞を付着させたり呼び寄せることになります。このようなことにより、いろいろなアレルギー性疾患が引き起こされたり、進行したりします。

 

 
結論:

表皮はほとんどが角化細胞である。

 

 

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