シャンプー

◇シャンプー剤の洗浄成分は3種類◇

投稿日:2015年7月18日 更新日:

Is the washing ingredient distributed between three kinds?

ケミカル美容師による洗浄成分の分類
こんにちは。
所沢の美容院PROGRESS小手指のよごです。
タイトルの◇は、ケミカルを示します。
今日は

洗浄成分の種類

について。

 

 
界面活性剤を作るには、エステルにアルカリを加えて酸の塩とアルコールに加水分解します。

…もう少しくだけた表現をすると、油脂を水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)などの塩基を使って、高級脂肪酸塩(カルボン酸塩、界面活性剤)とグリセリン(保湿成分、ただの副産物)を作ります。
エステルとアルカリとアルコール

 
なんのこっちゃ。
┐( ̄ヘ ̄)┌

 
石鹸(陰イオン界面活性剤)は、油と苛性ソーダと水から作ります。
シャンプー剤の界面活性剤も同じです。

 
その油の違いによって、どんな界面活性剤になるか決まるのです。

 

 
シャンプーに使われる陰イオン界面活性剤(洗浄成分)の場合は、慣用的に3種類に分けられます。
アミノ酸系
石鹸系
高級アルコール系
勿論、それ以外の種類もあります。

 

 
個人的には、この分け方になんら論理性も長所も感じません。

 

界面活性剤を作る前の油脂が、カルボキシル基を持っているか持っていないかで分けるべきです。

ケミカル美容師によるカルボキシル基の説明
カルボキシル基を持ってるアミノ酸系、石鹸系と、カルボキシル基を持たない高級アルコール系という分け方がしっくりきます。

 
感覚的には、カルボキシル基を持っているから刺激が弱そう…とか、
アルコールから界面活性剤を作るのは、なんか大変そうでどこかに無理がありそうだな…、
って分かってくるだけで、認識が少し変わると思います。

 
お肌に優しいと言われるアミノ酸系の界面活性剤から見ていきます。

 

 

①アミノ酸系

アミノ酸系の界面活性剤の元は、
グルタミン酸、アラニン、グリシン
など。

 
よく使われるのは、ココイルグルタミン酸ナトリウム。
HOOCCH2CH2CH(NHCOR)COONa
※R=C11~C17

 
グルタミン酸で考えていく。
HOOC(CH2)2CH(NH2)COOH

これをアルカリで加水分解して、
グルタミン酸ナトリウム(界面活性剤)を得る。
HOOC(CH2)2CH(NH2)COONa

至って、シンプル!

 

 

石鹸系

油脂に含まれる脂肪酸に、アルカリを反応させて作る。
ステアリン酸、オレイン酸など。
オレイン酸は、
CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH

アルカリで加水分解して、
オレイン酸ナトリウム(界面活性剤)を得る。
CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COONa

 
簡単!簡単!

 

 

高級アルコール系

ラウリル硫酸、ラウレス硫酸など。
高級アルコールとは、1分子中の炭素原子数6個以上の鎖式アルコールをさす場合が多い。
高級アルコールを硫酸と縮合重合して、界面活性剤を得る。

アルカリを加える油脂は、分子量が大きいほど、刺激が弱くなる。

そこで、ラウリル硫酸にポリオキシエチレンをわざわざくっつけてラウレス硫酸を作っている。
分子量を大きくすることで、刺激が減る。

ラウレス硫酸塩とラウリル硫酸塩は、洗浄力の強さや原料費の安さがほとんど同じ。
そのため、刺激の強いラウリル硫酸塩は、現在では使われなくなりつつある。

 
ラウレス硫酸ナトリウムは、こちら。
CH3(CH2)10CH2(OCH2CH2)nOSO3Na

 

 
単純な構造のラウリル硫酸ナトリウムを見ていく。

 
ラウリン酸
CH3(CH2)10COOH

還元して、ラウリルアルコール
1-ドデカノールを得る。
CH3(CH2)10CH2OH

濃硫酸で脱水縮合によりエステルを得る。
ラウリル硫酸エステル
CH3(CH2)10CH2OSO3H

水酸化ナトリウムなどで中和する。
ラウリル硫酸ナトリウム(界面活性剤)を得る。
CH3(CH2)10CH2OSO3Na

 
ラウリン酸は毒性が低く、石鹸やシャンプーに使われる。
洗浄力を求めるため、一度ラウリルアルコールにしてから、ラウリル硫酸ナトリウムにする。

 
アルコールから界面活性剤。
ビールから洗剤?
と言えば言い過ぎだが、すごいなぁと思う。

 

 

結論:界面活性剤は、カルボキシル基を持つかどうかで分けるべきである。

The carboxyl group is mild.

 

 

〈〈美容院のシャンプーと市販のシャンプーの違い
〉〉乞うご期待

 

 

ケミカルな美容師”よごあきとし”インタビュー

 
〉〉ホットペッパービューティはこちら

-シャンプー
-

執筆者:


コメントを残す

関連記事

シャンプーしてる写真

◇【美容師が解説♪】シャンプーする時に、泡立たない12個の理由◇

シャンプーが泡立たないと、気になりますよね。心当たりはありますか? A.シャンプーを変えた B.カラーやパーマをした C.生活環境が変わった こんにちは。新居浜のリズミカルな美容師よごです。 タイトル …

ケミカルな美容師のpHの定義

◇pHとは◇

目次1 Definition of PH2 pHの定義2.1 ①定義(Wikipediaより)2.2 ②水の分け方2.3 ③水の中の何の濃度が違う?3 結論:水のpHは、水素イオンの濃度で決まる!4 …

ケミカル美容師のサロンのシャンプーは、洗浄力が弱く、低刺激

◇サロンのシャンプーの特徴◇

目次1 What’s the characteristic of the salon shampoo?2 美容室で売っているサロンのシャンプー2.1 ①美容室のシャンプーは、「施術者の皮膚 …

頭の汚れ

◇頭の汚れはどこから来るか◇

頭の汚れって、何ですか? 臭いのもと?かゆみのもと?べたつきのもと? 頭の汚れがどこから来るかを見ていきます。 こんにちは。 昨日は丸一日、カットの講習に表参道まで行ってきた美容師よごです。 タイトル …

美容院のバックシャンプー

◇サイドシャンプーの特徴とは◇

美容院のシャンプー台といえば、サイドシャンプーだった。 しっかり洗えるし、お客様の身長に関わらず使える優れたシャンプー台である。 こんにちは。 昨日、人生で初めて築地でお寿司をいただいた美容師よごです …

ケミカルサイト内検索